2016年秋のSDA王滝

こんにちは、つくば店の大高です!

国内でも最大規模を誇るMTBレースである「SDA王滝」に、今年も懲りずに参戦してきましたのでレポートさせて頂きます!


今年もこの季節がやってまいりました・・・
前回の王滝ゴール直後は、「二度とこんなところ来るか!」と本気で辟易していたはずなのに、
なぜかまた来たくなってしまう、それがSDA王滝の魔力。

それはまるで、作り過ぎたカレーを3日間食べ続け、もうカレーなど見たくないと思ったはずなのに、翌週またカレーが食べたくなるような、そんな感じです。(たぶん)

土日の天気予報は前線の通過に伴って大雨の見込み。混雑する中央道を、早め早めの行動でパスし、予定よりも巻いて王滝村へ入りました。(本番でもこうありたいものです)


お目当ての王滝食堂のイノブタ丼

これを食べないと王滝村に来た気がしない、そんな名物料理のイノブタ丼。

関東風の甘辛い醤油ベースの豚丼とは違い、関西圏のダシの文化に影響を受けているであろう、上品な風味に仕上がっており、シンプルな見た目ながら、コンニャク・しめじ・玉ねぎがアクセントとなって、ゆたかな食感と味に変化をもたらしています。

・・・こんな感じでグルメレポートをすれば、グルメツーリングの範疇で丸く収まり、大雨のレースに参加すること無く、このまま帰っても許されそうなそんな満足感でいっぱいです。

ですが・・・明日に備えて準備をしなければなりません。


1時ちょうどのエントリー開始に合わせて会場入りしました。

協賛メーカーの展示ブースを見て回っていると、何やら上空のうほうが・・・
降ってきちゃいました!

通り雨でしたが、会場周辺はまさに暗雲が立ち込めると言った具合で、エントリーを終えた参加者の多くも、その顔に不安の色を滲ませています。

空模様と相談しながら、おなじみの練習コースで足慣らしをして明日に備える一行。

逐一スマートフォンで天気予報を確認するも、画面に映し出されるのは雨マークのみ。
降水確率は90%。1時間当りの予想降水量は3~10mm。これは大変なことになるぞ・・・


大荒れの予報を受けてもなお気合に満ち溢れる皆様


そしてあくる朝。前日の夜から本降りとなった雨は止むことはありませんでした。

午前3時に起床し、スタートとなる「松原スポーツ公園」に向かいます。もはや夜中ですが、この時間帯から戦いは既に始まっていて、4時には会場入りしないと良いスタート位置が確保できません。

雷鳴こそ轟かないものの、霧とも雲とも呼べそうな白い塊が松原スポーツ公園のすぐ脇の斜面を舐め、既に水を多く含んだ地面へ、大粒の雨をコレでもかというくらい降らせています。

DNSすらも考慮しなければならない雨量なのにもかかわらず、MTBのコアなファン達が続々と集結していきます。

(Do Not Start : 100kmマラソンではこの時点で200名を超える選手がDNSとなり、実際の出走は700名弱となりました。)


この人達本気だ!

そこへ突然鳴り響くサイレン。まるで試合開始を伝える甲子園のアレ。河川の増水かダムの放水を知らせるモノだと思いますが、このタイミングだとだいぶ不気味です。果たして生きて帰ってこれるのか!?


レース開始より1時間。

雨は決して止むことはなく、防水ウインドブレーカー程度では中まで水浸しで、雨なのか汗なのかもはや分かりません。気温はGARMINのデータで19℃程ですが、風が吹けば凍えるほど寒いです。

林道は水が溢れて沢下りのように

ダブルトラックのジープロードは、片側は沢、片側はガレ場となり、どちらのラインをとっても足に掛かる負担は半端ではありません。

チェックポイントもエイドステーションは混雑するので、体が冷えると判断。少し前の「天然エイドステーション」で水を補給し、第1チェックポイントでは休まずに通過することに。

本来なら湧き水が汲めるはずなのに、雨水混じりの緑色とも褐色とも呼べる水を、バックへと給水。既に砂を大量に噛み、泥水を啜っているので、まぁ~同じでしょう。途中2度ほどチェーンへ注油。


正午に差し掛かると風雨がさらに強さをまして、大会続行が怪しくなって来るぐらいになりました。その為か第2チェックポイントではリタイア者が続出。

リタイアの判断をするのも自分自身。無理だと思ったら辞めるのも、「セルフ・ディスカバリー・アドベンチャー」の大会名には合っているな!などとリタイアの理由ばかり頭を巡ります。

道のりは遠く・・・

こんな所ありましたっけ?ってレベルに沢が増水してる・・・

文字通りバケツをひっくり返したような雨の中、ハブが浸かるぐらいに水かさが増していています。急遽増員されたであろう係の方に支えていただかないと、対岸まで渡れない程になっていました。

靄がかかり視界も路面状況も悪くなっていく中、同じペースで走っているライダーさん達と声を掛け合いながら、やっとの思いで第3チェックポイントまで来ました。

シクロクロス車に乗ったライダーさんに、「気合入ってますねぇ!」と声をかけると、震える声で「しんどいのでもうリタイアしたいです・・・」と言われました。奇遇ですね、私もそう思います。

帰りたい。リタイアしたい。グルグルと同じことを考えていると、逆に色んな方に声をかけていただきました。(なぜか全員関西弁だったのが印象的です。)

多くの方の励ましの甲斐あってか何とか無事完走できました。終盤はほとんど無心で、ゴール直後に抱いた気持ちは、

「二度と来るか!」

の一言でした・・・。最終的にフィニッシュラインを切ったのは457名のライダーで、多くのリタイア者を出す大会となりました。ここ数年で最も過酷だった秋の王滝。逆に言うとコレ以上ひどいレースは早々ないということでしょう。

・・・ってことは、また王滝食堂のイノブタ丼を食べる時が来るということだな。きっとまた来ます。