充実アップグレード!2025年「25mmをキーワードにロードバイクホイールに注目してみないか」その2
こんにちは。オンザロードつくば店の影山です。
前回のブログを御覧いただいた方からお問い合わせをいただきました。
「自転車のタイヤって、そんなにいろんなホイールに付けられるの?」
はい、付きます。バランスや限度はありますが、いろんなリム幅のホイールに、いろんな太さのタイヤを付けることが出来ます。
メーカーによって回答と解釈は少し分かれてくると思いますが、ざっくり書くと・・・
従来のロードバイク用タイヤは、リム内幅が15mmくらいを目安に設計されていたそうです。
そもそもリムブレーキでは、タイヤって太くても28mmくらいが限度(=それより太いとブレーキやフレームにぶつかる)でしたしね。
昔は20mmとか23mmとか、今から考えると線の上を走るような、ガラスのエッジをなぞるようなタイヤでレースを攻めて、筑波山の峠を辿っていたなあ。
あの絶妙のバランス感が、ロードバイクを特別なものにしている趣きでした。
21世紀になり、レースパフォーマンスが進化して速度もあがり、通勤・シティコミューティング・グラベルなど乗り方も多様に変化しました。
なによりディスクブレーキの普及と進化が起きました。
それに伴い、もっと太いタイヤを無理なく自然に使いたい!という要望が高まってきました。(だって一度これを知ってしまうと、速いし快適すぎてw)
2020年ごろにメーカーの申し合わせ事項(ETRTO エトルト という規格のお話です)が改められて、前提になるリム内幅が19mmになったそうです。
タイヤメーカーによってはこれを明記しているところもあるし、していないところもあります。(旧ETRTOとか新ETRTOとか、目にされたこともあるのでは?)
参考に、パナレーサーさんが出している「ウチのこのタイヤは新ETRTO対応」「どんなリムに付けるとどんな幅になるか」の参照表です。
さらには、40mm幅くらいが当たり前のグラベルロードや、レース規則でタイヤ幅に制限がある33mmシクロクロスバイク、近年バリエーション豊かなディスクブレーキロードバイク、などなど規格に当てはまらないケースも出てきました。
なんだか難しいなあ、不安だなあ、と当初はショップ店員として考えていましたが、あくまでお客様のバイクや乗り方に合った組み合わせを提案していきたいと思っています。
どんな組み合わせがOKなのか?ベターなのか?は、勉強と経験でカバーしていきます。ご安心ください!
そんなわけで、現在オンザロードつくば店で鑑賞できる(もちろんご購入いただける)ホイールをいくつかピックアップしていきます。
ボントレガー Paradigm Comp 25 TLR Disc
パラダイムコンプ25は、写真にあるように「2025年モデル TREK Domane SL6」に標準装備のホイールです。
このバイクの標準装備タイヤは「Bontrager R3 チューブレスレディタイヤ 32mm幅」です。
このホイールは内幅25mmのリム。太めのロードバイクタイヤ、およびグラベルタイヤを履くのに最適です。ロードタイヤでのベストフィットは、28~35mmくらいのタイヤでしょう。
ワイドな内幅で、30mmや32mmなどのチューブレスタイヤの空気圧を下げても、タイヤをしっかり支えられるようになります。
結果としてハイトラクション、快適さのアップ、急な腰砕けが少なくなってリム打ちパンク耐性が上がる、などのメリットがあります。
内幅25mm(外幅30mm)のリムは、きれいなブラックアルマイトカラー。リムハイトは23mm、リム重量は500gだそうです。
よーく見ると、スポークが出てくる位置が左右非対称になっているのが分かりますか?「OSB オフセットスポークベッド」、2.5mmオフセットリムと言って、右と左のスポークテンション(車輪はスポークという針金のテンション=張り具合で形を保っています)をバランスよくする効果がある製法です。
オフセットリムは、その昔キースボントレガーさんが口酸っぱく語って、普及させていた製法です(これは目立たないテクノロジーですね)。車輪の左右対称感、組立時のガッチリ感が圧倒的にあがります。
*最近はカーボンリムの普及で、あまり見かけなくなってきましたが。
このホイールは、空走時の「カチカチ音」「ジャラジャラ音」がとても細かい!(うるさくはないです。)「Rapid Drive 54 ロードハブ」といって、ざっくりいうと普通の自転車の「3倍細かい」カチカチ音です。
瞬時に踏み込んだ動力を伝えて、なめらかに素早く加速してくれます。
コーナーの連続する場面やグラベルの難しい登り坂で、高い操作性を可能にします。
あと、大事なところですが基本的な工作精度がよく、剛性が高い。ブレーキローターや後ろギア類がしっかり取り付けられます。(と書くのは、そうではないホイールが世の中に増えてきたからです。)
ベアリングの交換作業もやりやすく、大手ブランドならではのアフターパーツ供給も安心です。
ウルトラ軽くはないし、めちゃくちゃ耐水性が高いというハブでもありませんが、必要にして充分、とても実直なスペックです。
「ライダーの体重制限なし」というのは、地味にボントレガーさんの哲学を表しています。
アルミフレームのディスクロードバイク(ドマーネALなど)やグラベルバイクにお乗りの方に、ぜひトライしていただきたいボントレガーの自信作です。
フロント:¥34,900 825g
リア:¥44,900 955g
合計:¥79,800 1,780g
*このホイールに33Cシクロクロスチューブレスタイヤを取り付けると、タイヤ幅は実測で33mmを超えます。UCIシクロクロスレースのタイヤ幅実測規則を超えますので、その手のレースを目指すライダーさんは注意しましょう。
ボントレガー Aeolus Elite 35V TLR Disc
アイオロスエリート35V。2024年後半に発売されたハイパフォーマンスなカーボンホイールです。
リム高さ35mm、内幅25mm。OCLVカーボン製リムは32mmの外幅。リム重量は485g。
カーボンならではの造形と高いリムハイトのおかげで、高い空力性能(回転時に巻き起こす乱流が少ない)を発揮します。
高速走行でグングン伸びる走りを楽しめます。
幅広タイヤを確かに支えるカーボンホイールは、バイクに付けると存在感も増し増し!
速度が上がると路面からのショックも増えますが、カーボンホイールのショック吸収性のおかげでバランスは取れていると感じます。
*このホイールのカーボンリムは「オフセットリム」ではありません。
フロントハブは、パラダイムコンプ25と同等のデザイン。パラダイムコンプ25と違い、スポークは「ブレードスポーク」という空気抵抗の少ない翼断面形状のものになっていて、これまた高速走行時の「速度伸びしろアップ」に貢献します。(あと、かっこいい。)
たかがスポークとあなどることなかれ、です。直径2mm丸スポークが、断面1mm翼断面スポークになるだけで、理論的には回転時空気抵抗は半分になります。
驚きなのがリアハブ。「Bontrager Rapid Drive 108 ロードハブ」は、パラダイムコンプ25から2倍細かいカチカチ音。通常の自転車からすると6倍くらい細かいカチカチで、もはや「踏んだ瞬間にトルクが伝わる」かのような特殊体験、これはいいものです。
ボントレガーの哲学である「ライダーの体重制限なし」は、このカーボンホイールにも適用されます。
さらに、すべてのBontragerカーボンホイールは、信じられないくら手厚い保証で守られています。
・最初の購入者を生涯保証で守る
・「カーボンケア」によるさらなる保証・・・最初の購入から2年以内のライド中にそのホイールを壊してしまってもTREKが交換
もうグラベル/オフロードライドも怖くありません!(怪我にだけ、気をつけましょうね。)
ロードバイクをさらに快適に楽しみたい方、本格グラベルを目指すライダー、30mm幅くらいのタイヤをメインに使いたいハイスピードかすいちライダーさんにオススメの新作です!
フロント:¥75,900 760g
リア:¥85,900 900g
合計:¥161,800 1,660g
*このホイールも、33Cシクロクロスチューブレスタイヤを取り付けると、タイヤ幅は実測で33mmを超えます。UCIシクロクロスレースのタイヤ幅実測規則を超えますので、その手のレースを目指すライダーさんは注意しましょう。
閑話休題 Bontrager Rapid Drive ハブの中身
アイオロスエリート35V、影山が使用中です。よいしょっと分解してみましょう。
経験上、割としっかり嵌合しているハブでした。色々ホイールをバラしていると、あぁここにお金をかけているんだなあとか、自宅だとメンテナンスしにくそうだなあとか、長持ちしそうだなあとか、色々感じてしまって作業が進みませ(嘘)。
ギアが取り付く「フリーボディ」側には標準で6つの爪(ラチェット)があり、それぞれが独立したスプリングでパタパタと動きます。
「ハブボディ」側には、54個のミゾミゾがあります。6個の爪が、3個ずつ、互い違いに噛み合うようになっています。
爪を3個つけると、54カチカチ状態に。爪を6個つけると、108カチカチ状態になるのです。
つまり54カチカチと108カチカチとは互換性があるんですね。3つの爪は別売りでも売っています。
ベアリング部分と爪部分は、それぞれ違う粘性のグリスでメンテナンスしてあげましょう。
ホイールを分解・洗浄するのはなかなかご家庭では手を入れにくい部分ですが、しっかり適切にメンテナンスすると動きは明確に変わってきます。ぜひ、定期的にご依頼ください。