乗らり 鞍りと 上高地で 梓川に流されたい。
草木も眠る丑三つ時に目を覚ます、鈴虫・コオロギ達も鳴りをひそめる深く静かな時間帯。
ご近所の迷惑にならないよう、ひっそりとつくばをたち、一路信濃路へ。
中央道を走る最中に背後から太陽が抜いていきました。日の出の時刻もだいぶ遅くなったことに気付き今年最後の夏ライドになる予感が更に大きくなりました。
私、堀越の「夏ライド」夏しか走れない避暑地を走りつつ、水辺にドボンがお決まりのコースです。
今年最後になるであろう夏ライドは、長野県松本市の乗鞍高原のちょっと下からスタートです。
夏ライドに申し分ないお天気とコース。今日は紳士協定を結んで、のらりくらりと脱力系のサイクリングで景色を楽しむことにしました。
私も乗鞍らしい景色に差し掛かりカメラを取り出したところですが、いつもと様子が異なります。
メモリーカードを入れ忘れておりました…。
携帯も知らぬ間にソフトが起動し開始早々にしてバッテリー残量極少の警告域に入っております。
本稿の写真は守谷店スタッフ西谷氏と 柏スタッフ村上氏の提供により綴って参ります。
無用の電子機器2機をポケットに詰め込むやるせなさときたら、せっかくの軽いリムバイクにしたのが帳消しですわ。
標高2300メートを過ぎたころから、日差しは遮られ手を伸ばせば霧をつかめるような感覚で高度を稼いでいきます。
さてさて今回の最高到達点では雲間を突き抜けて、晴れ間から眼下を望むことができるのでしょうか!?
ゴールの畳平まで残り高度400メール程度、地元筑波山の峠に換算して「つつじが丘1本分かな」と残高を皮算用。
因みに本日のトータルでは「不動峠換算」で10本分くらになるようにルートを組んでます。残り6本ぐらい、ゆっくり楽しみます。
残り数か所のカーブを過ぎれば、ゴールの畳平。レース中ならもう早く終わって欲しい苦しい区間ですが、今日の脱力サイクリングならまだまだ登り続けて、雲を突き抜けたい気分です。
ゆるゆるリラックスして登る様が目についたのか、地元観光協会の撮影クルーに撮影のお願いをされました。、しばらく走っている様子を撮影されてましたので何処かの素材として見かけたら是非教えてください。
微妙なお天気の中でしたので出来栄えが気になりますが。
真っ白です、ペダルを漕ぐのを止めた瞬間から体の熱気がみるみる放たれて、さっきまでの真夏の暑さがすでに恋しくなります。
ただただ温かいものが食べたい、来る途中に見かけた「位ヶ原山荘でのお汁粉」を求めて退散します。
最高に晴れていたらどんな気分になっていただろうを想像しますが、あの寒さ故に「お汁粉」への想いが勝ってしまいました。
無事に乗鞍から下山し、ここからが今日のメインです。
乗鞍のヒルクラムが前菜とは何とも贅沢なサイクリングです。
白骨温泉へ通じる小さな峠を越えたあたりから、雨雲からこらえきれなくなった雨粒がこぼれだしてきました。
厄介なことにその雨雲が我々が向かう岐阜高山方面に同じくらいの歩みで移動するようです。
雨の動きも気になるところですが、ほぼ登り基調ゆえゆっくりペダルを漕いでいた方が躰も冷やさず負担も少なかろうと続行です。
あとから振り返ると大半がトンネル区間でむしろ快適で正しい選択でした。最後にラスボスにふさわしい釜トンネル。
トンネルを抜けるとそこは・・・ 上高地
穂高連峰と河童橋
芥川龍之介の晩年の名作「河童」の舞台だそうで、近いうちに小説を読み返しながらこの情景を思い返してみます。
インバウンドの観光客の雑多な感じを差し引いでも充分すぎる景観に一目ぼれ。
河童橋からの梓川
最高に透き通る梓川にドボンしてカッパになる気満々でしたが、日本屈指のリゾート地の貴賓さにたじろいてしまい最後の水辺遊びならず。
雲の流れも小走りに、正面の穂高連峰も気づけば雲の中に。
来年は自転車で乗り付けて、上高地のトレッキングを思案中です。
夕暮れ前の僅かな滞在でしたが、刻の進みより雲の流れがはやく。差し込む光の加減で変わる上高地のパノラマに感嘆するばかりでした。
また一つ夏の遊び場コレクションを増やすことができて、はやくも来夏が楽しみでなりません!!